JR大塚駅ガード下等の落書きが一掃され,その上から地元の中学生らによる『大切なもの』というお題の壁画が描かれた.
お役人も雁首揃えてお披露目式なんかも行われ,地元住民もたいそうな喜びようだったという.
しかしこの壁画,雰囲気はあくまで子供のお絵描きである.落書きと質的にどう違うのか僕にはどうしても分からなかった.
個人の財産である民家や店先,看板などにスプレーで落書きする行為は断じて許されるものではない.そして子供の情操教育にこうした大胆な表現がしばしば必要であることも認める.しかしなんだか腑に落ちない.組織されて昼間描かれるのは壁画=善,個人によって夜描かれるのは落書き=悪,ということなのか.そしてそれに応じて行為そのものも賞賛と処罰の狭間で揺れる.
ベルリンの壁に夜こっそり描かれていった落書きはついには世界遺産にまでなった.. 時代の評価なんて勝手なものだから.
美しい,汚い,といった内容の問題とごっちゃにすべきではない.せめて落書きの解放区を作ればよかったのに,と述べたら身勝手だろうか...
しょせんはJR東日本所有のコンクリート壁だ.了解された芸術か器物損壊か決めるのも所有者なのだ,将来出世して勝ち組になって財産を所有する側に廻りなさい,ということを中学生に教えるには絶好の機会だったかも知れない.
ついでに一掃されたものが2つあった.ホームレスとストリートミュージシャンだ.
urban gypsyな方々はともかくとして、
ストリートミュージシャンまで居なくなるのは悲しいですね…
確かに付近の住民にとっては、騒音(と言って良いのかどうか…)等の問題はあると思いますが、
若い才能をつまみ出すというのは惜しいですね。
少し前の、手渡しのデモテープは怖いから貰わないと言ってのけた人同様、
日本人は若い種をもぎ取るのが好きなんでしょうかね…
Posted by: siren | Sunday, 02 April 2006 at 14:56
○○参上!とか仏恥義理とかいう落書ききだけじゃなくって、けっこうアートな落書きもありますもんね。何でも管理したがりで、よくわからないものを放っておくことができない人が多い国だからでしょうか。
確かに子供がのびのび大きな絵をかけるのはいいことだったとは思いますが、なんとなく、文科省の考える「奉仕教育」とか「愛国心」を教えるとかいう胡散臭いニオイを同時に思い出してしまいます。
Posted by: tomo18 | Monday, 03 April 2006 at 02:47
お役人様の考えは『文化は万人からの賞賛を受け得るもの』なのかと思われますが(苦笑
まぁ、自分たちが理解できる物だけに存在権を与える、っつーやり方じゃあ、トリックばればれの手品を見ているようで楽しくないと思うんですけどねぇ。不確定要素があるからアートは面白いわけで。
『なんだか良く解らないけど、凄ぇ!!』って最大の賛辞だと思いません?(笑
Posted by: アクア | Tuesday, 04 April 2006 at 22:03
僕がいまやっている音楽も,中学時代は「不良」と定義されたもんでした.高校でも校則に「エレキ禁止」と銘記されるのが常識だった時代です.
クラシック以外の音楽は不良なのだそうで.
でもモーツァルトだってその時代の不良だったわけでしょ,充分.
今はもうそんなことなくなったようですね.少しずつよい世の中になっているのでしょうか.
だから今回の話を聞いて「まだそんなことやってんのかよ」とちょっと頭に来たわけよ.
昔迫害した大人たちを認めさせたいという気持もなくはなくて頑張ってきたけど,みな他界しちゃって仇討ちは果たせません.
Posted by: Osamu | Wednesday, 19 April 2006 at 10:25