Le publilogue: ロンドン日帰り

[Backdated] ワルシャワから戻るとすぐに日本から友人の作曲家H氏が来仏．強行軍で済まないとは思いつつも，ユーロスターの日替わり運賃の関係でパリ一泊後すぐロンドンに日帰りで行こうと言うことになる．男二人旅．
彼とは同じ県人なのに，日本国内より国外でよく会っているような気がする．誘うとちゃんと来てくれるのが嬉しい．
僕とは対照的にきっちりと仕事を上げるA型の方なので，すごい仕事が忙しいのにも関わらずちゃんと前日までに納品してジムにまで寄ってくるという余裕ぶり（！）爪の垢ぁ煎じてもらわなきゃだめですかね．．．

前回ユーロスターに乗ったのはかれこれ12年も前のことになる．その頃は高速鉄道だったのはフランス国内だけで，イギリスに上陸すると羊を眺めながらのったりのったりと在来線をゆっくり走っていたものだった．それでも5時間弱で行けたのだから，無理すれば日帰りできないこともなかった．
それが今では2時間15分だとよ．半分以下．これは速い．どのくらい速いって，日帰りすれば一度もイギリスの飯を喰わなくて済むくらい速い（イギリスの食事が旨いのかまずいのか僕はコメントしませんが）．結局我々も手弁当でパリを出たので英国純正のものはセント・パンクラス駅のサンドイッチしか食わなかった．便利なことは素晴らしいとは思うが，あまりに短時間なので，昔みたいに列車内で友人や恋人（まさか）ができちゃったりするようなコミュニケーションは取れませんね．ずーっと携帯で喋り続けてる人も珍しくないくらい．
Img_0329s_2 パリに向かう列車がフランスに上陸した瞬間『Welcome to France！これからこの電車は時速300kmに加速します．なんたらかんたら．』と子供のように誇らしげに語ったフランス人車掌のアナウンスも，もう無い．

英国で何をやったかというとまぁ楽譜あさりと（結局僕はなにも買わなかったが，イングランドの本屋の匂いが好きなので立ち読みしていると時間の経つのを忘れてしまう）旧来の友人であるMF嬢に逢ったことくらい．彼女は20年ほど前僕の在籍していたバンドと同じ事務所に属するボーカリストとして，日本に住んでいた．僕と同い歳であり，僕の英語の先生でもあった．それが今や中国医学にはまり，イギリスの国家資格を取って鍼・灸の開業までしてしまったのだ．疲れた自分の体に鍼を刺してしまうほどの腕とモデル並みのスリムな容姿を持ちながら，結構おっちょこちょいで，よくコケる．以前来日した時も新宿のパークハイアットで派手にやらかしてデジカメを水没させたし，最近も自慢のiPhoneごと宙を舞って見事なワニ革模様にしたまま持ち歩いている（表面にメリメリとひびが入って，でも動作している）．基板のコンデンサーとかも臓器みたいにむき出しになっていて，いつ僕が彼女の鍼の腕試しに使われるのかと思うとちょっと考え込んでしまったのは事実だ．
（しかし彼女の名誉のために言っておきますと，実際鍼の腕は結構良いという第三者情報があります．在ロンドンでお身体の調子が悪い方はご相談ください．紹介します．もちろんマージン取って．安心の円払い・・・笑）
ま，動くんだから修理もしない，買い換えもしないというのは素晴らしく論理的だ．

英語を勉強中というH氏は，正直言ってロンドンがかなり気に入ったみたい．しかしフランス好きの僕に気を遣ってそれをあまり大きく語らない（優しいのね☆）．どこがいいかって，良い意味で無関心な街だからだと言う．パリでは，周囲が日本人である自分を常に評価しているような気がしたと言う．
僕はそのへんはあまりよくわからない．ただ，街というのは世界中どこでも，こちらの気持のありようによって白にも黒にも見えるのではないかと，かつてフランスや韓国の顔色をびくびくと窺って暮らしていた僕は思うのだ．．．

追記：ロンドン St. Pancras駅にはMarks&Spencerの食品スーパーがあります．TescoやSainsbury'sよりちょっと高級ですが車内で食べるもろもろの食事を仕入れるには便利．駅周辺にスーパーはない．隣のKings Cross駅の向かいにoff license（コーナーショップ）があるだけ．