韓国は教育大国である,というのは有名な話だ.
音楽業界を見ても,プロとして食っている(食えている)人はすべからくすごい学歴だ.入れ墨をしたロック野郎のスタジオミュージシャンがソウル大音楽科首席卒業だったり,オタク的風貌のピアニストが中学からヨーロッパに音楽留学していたり,おそれ入ってしまう高学歴である.それが普通らしい.いっぽう日本では音楽なんて学校に行けないやつがやるもんだ,などとよく言われるが,実際,僕は以前現場でよく「東大くん」などと悪意を持って呼ばれたりして,へんに学歴を持っていたがゆえ実に肩身の狭い思いをしたものだった.
そもそも韓国では,カラオケ文化はかなり盛んであるが,趣味でバンド活動をしていく土壌じたいが無かった.受験勉強が厳しくでそれどころではないというのも背景だろうが,そうした若者がたむろするライブハウスの数がまだまだ少ない.それよりなにより,音楽をやりたければ早くから音楽学校に行けばよいのである.四年制大学に進学するような顔をしつつ親の目を盗んでバンド活動をする,なんていうややこしい人生を歩む必然性がまったく存在しないのである.このへんは,なかなかうち解けない日本の親子関係に対して,キレればすぐに言い合って自己をストレートにさらけ出す韓国の家庭環境に理由がありそうである.しかし子供がそんなに早くして自分の夢に自信を持てるのだろうか・・・持つのである.韓国では!
日本の音楽業界ではよく韓国のミュージシャンについて「ウマイけどつまらない.個性がない」と論評する人が多い.たしかにそうした面があったのは事実だ.でもここへきて変わってきた.まずインディーズシーンが充実,実に多くのバンドがストリートから生まれてきている.
今回ホンデ(弘大)近くのClub EVANSというライブハウスでたまたま見かけたMissing Islandというバンドを観たとき,素直に思った.個性がないなんて言ったのは誰だ・・・のびやかな演奏表現,それでいてミスのない演奏.叙情表現とテクニックと遊びが嫌味なく同居する.ピアニカでアルゼンチンタンゴだってやっちゃう.MCはお笑い系なみに笑える.これでも本当にインディーズバンドなのか・・・!
いま日本で「フュージョンっぽいね」と言うと=『今っぽくない』『ダサイ』『ナルっぽく技術に走りすぎている』みたいな意味を持つことが多い.しかし韓国ではJ-Fusionが一大センセーションである.カシオペアとかT-スクエアとか,おじさん達が大喜びしそうな昔の神々が,韓国の若い人たちによって今ふたたび祭られようとしている.このMissing Islandも含めて多くのインディーズバンドがその影響を強く深く受けているようだ.それは歌いあげ中心だったいままでのK-POPSへのアンチテーゼでもあるように思う.
そして話は戻るがこのMissing Islandの1stアルバム"Maiden Voyage"は,韓国政府が本格的に自国のコンテンツを育成・輸出しようとする国有組織KOCCAこと韓国文化コンテンツ振興院の素晴らしいスタジオでレコーディングされたもの.
すごいね韓国政府.インディーズまで育てちゃう.(それをインディーズと呼んでいいかはまた別の問題ですが)
ま,言いたかったのは,やさぐれて他人(国)の悪口を言いながら活動するのはやめましょう.そして決断は早く.
ところで"Missing Island"ってどこのことでしょうね・・・.独島(竹島)とかそういう政治的意味を持っていないことを祈ります(笑)
fusionですか‥fusion好きとしてはとても嬉しい事です。
どんなに古くても、どんなに流行から外れていても、良い曲、良い物は世代を超えて国境を越えて伝わるんだな、という事を再認識しました。
話は変わりますが、トップページが表示されなくなっていましたよ。
昨日まで見れていたのですが‥ttp://home.att.ne.jp/aqua/samm/index-j.html
Posted by: amp | Saturday, 17 March 2007 at 22:34
御指摘ありがとう>トップページの件
ID for WebLiFEのバグでした.復旧いたしました.
たとえば自分の音楽を,世代も国境も超えて常に愛されるべきだ!と申すつもりはありませんが,不遇な時期はあっても,
“ぽっ”
と灯がついたみたいにどこかの国で,いつぞの時代にふと思い出されたいものです.
Posted by: Osamuxxxx | Saturday, 17 March 2007 at 23:34