某カード会社のCMでも言っているように,人はみな平等に歳を取る.男性と女性では,或いは職種や環境,人づきあいや恋愛によって齢の重ね方はさまざまであろう.しかし重要なことは,どんな状況であれ,時代であれ,人はかならず若い者に嫉妬するということである.
この事実を年長の者が素直に受け入れさえすれば,世の人間関係のトラブルは半減するのではないかとすら思う.なんで俺が嫉妬などしなきゃならないんだ,若いモンが何だ,・・・そういう悲しい突っ張りをこともあろうに社会が後支えする構造がある.
『縦社会』というやつだ.
先輩は常に後輩より優れているという前提.こうして年上の者を持ち上げておけば,実務的な技術や体力,アイデアの斬新さ,ルックスや性的繁殖力などで若い者が圧倒的に先行するという危険を担保できる.結果的には両者の感情的バランスが取れ,社会はスムーズに進行する.めでたしめでたし.
裏返して言えば,縦社会がしっかり構築されている国では年長者が努力しない怖れがある.必要がないからである.また,権威が邪魔して世代を超えた尺度が育ちにくい.フランスでは常にお母さんの世代は娘のファッションリーダーとなる.父から子へのプレゼントはすべからくセンスに満ちあふれ大人になるためのもうひとつの素養を授ける.しかし日本ではどうだ・・・ファッションにも家庭にも背を向けた大人がハサミを持って女子学生のスカートや髪を切ろうとさえする.それも「教育」の名のもとに.
私がミュージシャンを目指した頃,プロデューサー達の世代,つまり今の音楽業界の基礎を築いた世代のおやじ達は,学生運動で崩壊したキャンパスで紙屑のように巻かれた卒業証書を手にして這い上がってきた人達だった.今思うと,彼らは常に嫉妬していた.真の学歴に,真に能力を持つ者に.自ら国境を越える者に.普通に「普通じゃない」存在に.しかしそれを認めることを嫌がった.『反骨』や『ストリートシーン』などという格好の良い言葉に逃げ込んで,真の才能を伸ばすシステムを構築することを怠った.現在も日本社会はその損失を負う.
いっぽう,お隣韓国も日本と同じように縦社会である.しかしこの罠に早くから気付いていた.結果,韓国のスターは皆そうそうたる学歴だ.これをうがって見る日本人は多いと思うが,ある道をめざし,その学校に通って努力した者が成功する,この当たり前のシステムを,僕は羨望の目で見る.
私は嫉妬する.なぜその一言を認める勇気がないのか.
ていうか,ちくしょー.若返りてぇぇぇ!
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