昨年秋に行ったプラハで買った食材が,いまだ迫り来る賞味期限に脅かされつつも我が家の食卓を彩っているという報告です.
海外旅行にお醤油を持って行く人,まだ結構いらっしゃいますよね.決して恥ずかしい事ではないです.醤油は日本・韓国・北朝鮮・中国など東北アジアの生んだ素晴らしい食文化ですから.
でもね,そんな日本文化の優位を語れるのもせいぜいハワイくらいまで.ポーランドやチェコに行ってごらんなさい.実は輸入モノが入る前,彼の国々では中世からすでに大豆と塩を元に立派な『醤油』とも言うべき発酵調味料を作っていたんです.アメリカだって,東欧移民の多いシカゴやNYでは,かのキッコーマンすら彼らの調味料の『代用』として仕方なく使われていたりするのです.
この写真の右端"Tekuté Koření(テクテー・コジェニー)がチェコの醤油.ちょっと塩分が強いけど,独特の匂いが日本の醤油以上に『和』を醸し出しています.舞茸とタマネギを叩いたのにこいつをまぜると最高のステーキソースができますね.そのほか,ペペロンチーノにたらっと一滴たらすよい感じ.まさに文化が匂います.日本の醤油も確かに美味しいですが,こいつは別物.「慣れ」を剥がすと,肉にも野菜にも『ソース』としてのポテンシャルは一枚上手のような気がします.
ポーランドではこいつをKotlet schabowy(コトゥレットゥ・スハーボヴィ)といういわばトンカツにパプリカと一緒にバシャバシャかけるのですが,今は亡き我が父曰く,それはまったく日本食と違わぬ味です.
その左横,"Universal Spice"といかにも怪しい英語で書かれているのはTESCO(イギリス系スーパーマーケットチェーン)のプラハ店で買ったもの.なんだよ,ユニヴァーサルって・・・それもイギリスの.しかし侮ることなかれ.イギリスは確かにレストランはマズイけどスーパーマーケットで売っている食材の質はかなりのものなのです.この『スパイス』もその名とは似ても似つかぬ一種の『ブイヨン』です.野菜炒めなんぞにも最適.野菜ブイヨンにちょっと上記の醤油をたらしたような味.たしかに"universal"で,ある種有機味の素的な万能粉.じゃがいもとの相性が特に良いようです.
そもそも,元東欧(現在は「中欧」と言われる元共産圏の国々)の食い物はおしなべて美味い.共産圏時代にも何度も足しげく通った僕はいつか日本に「共産圏レストラン」ができないものかと心待ちにしていました.それくらいうまいし安い.日本人観光客の多くが旧西欧圏ばかり廻って,ポーランドやチェコ,ハンガリーに入った瞬間食べ物が突然頬から落ちるようになることを知らないのは実に不幸です.
左端の"Michel & Augustin"(ミシェル&オーギュスタン)のバターサブレはフランスのものですがたいそうなお気に入り.手作りっぽい味.ronds et bons(丸くておいしい)はロン&ボンと韻まで踏んでいまして...
近々またヨーロッパに長く行くことになりそう.また買うことは確かですが,持って来て余らせて地に跪くか,現地で使い切ってしまい天を仰ぐか・・・.少なくとも賞味期限を過ぎてしまって貴重な荷物をゴミ箱に捨てることのないよう(→激しく経験者)考えて買いませう.
Osamuさん、こんにちは。cork3と申します。
blog楽しませていただいております。
アジア以外にも醤油のような調味料ってあるんですね。
僕はてっきりどこかを境目にソース(カゴメさんがだしてるような)
になるんじゃないか、と思っていました(^^;
「ペペロンチーノに一滴たらす」使い方がすごく気になるので、
近所の輸入食品店にテクテー・コジェニーを探しにいこうと思います。
フランスのバターサブレも食べてみたいなぁ。
ところで手前の携帯電話は「Nokia 6124 classic」、
もしくはその日本版の「NM706i」でしょうか?
携帯電話(特にNokia)が好きなので、とても気になってしまいます。。。
(そういえばNokiaも日本から"消え去りしもの"ですね。悲しい。。。)
Posted by: cork3 | Wednesday, 06 May 2009 at 11:51
>cork3
がんばって探してみて下さい!あるかな・・・.
今ちょっと検索してみたのですが,日本ではこの手の醤油についてほとんど情報がありませんね.
いまだチェコ料理店,ポーランド料理店がほとんど無いということも輸入が増えない理由でしょうか・・・.
僕が買ったMaggiのtekuté Kořeníはこれです.
http://www.maggi.cz/Katalog-vyrobku/Ochucovadla/MAGGI-Tekute-koreni-165ml.aspx
ポーランドでは単に"przyprawa w płynie(プシプラーヴァ・フ・プィニェ=液体スパイス)"の名で売られています.
これはそもそもスイス・マギー社が東欧にヒントを得て1886年にこの醤油ソースをドイツ語圏で発売し大ヒットした(http://de.wikipedia.org/wiki/Maggi-Würze )ため,今でも欧米でMaggi sauceと言えばこのニセ醤油(失礼!)を指すものらしいです.だから理屈の上では「マギー・ソース」というものを日本で探せば同じようなものが手に入るはずなんですが.(ただしチェコとポーランドでも微妙に味が違ったからなぁ・・・)
その後僕も愛用のCube d'Orというブイヨンを1908年にヒットさせたマギー社は世界ブランドへの道を歩むこととなります.
ちなみに英語Wikipediaで"Maggi"と引っぱるとポーランドニセ醤油の写真が載ってます(笑)http://en.wikipedia.org/wiki/Maggi
こうして調べてみると,日本の醤油が日本料理の枠を越えて欧米の食文化に受け入れられていった背景にはこんな下地があったのかと膝を叩く思いです.
電話機お詳しいのですね〜〜!写真のNokiaは日本domocoのNM706iですよ.日本docomoと韓国KTFのダブルナンバーが付与されてます.
iPhoneも魅力的ですけど,僕はミニマルなNokiaが大好きですね.Macの横にポンっと置くだけでbluetoothで中のファイルに階層アクセスできるし.
GSMの国では中国で買った超薄型2630も併用していますが,プラハに着いたとき「あ,(NM706i/2630共通の)充電器忘れてきた・・・」と.そんな時でもNokia用充電器は世界中にあるので,怪しいチェコ製パチモンチャージャー¥600でゲト.便利です.
Posted by: Osamu | Wednesday, 06 May 2009 at 18:59
チェコにもショウユ?初耳だ!
今でもチェコの台所にはショウユがあるのかと思うと、
地球の裏側とは思えないほど、身近に感じられますね。
魚ではなく大豆というなのが、よりいっそう~
だってだって、納豆の味噌汁とか、豆腐に醤油とか。
日本は大豆がないと大変かもー
醤油にしろ、味噌にしろ、日本人は麹の国ですね。
湿度が高いから、カビと相性がよかったんだろうか。
余談だけども、最近、ザワークラウド作ったのですよ。
うまくできたような気がするけど、
数日後、そのあとびっしりとカビが生えてた。
発酵って難しい…
Posted by: Camellia | Friday, 08 May 2009 at 00:50
>Camellia
ご無沙汰しています.
酢漬けキャベツ(この言い方も結構好き)作りましたか...共産圏料理には欠かせませんね.
そのうち醤油とかマッコリとか作っちゃいそうですね.
おっと,やっぱり「いしる」でしょうか.
ポーランド人の友人がイギリスで醤油を作ろうとしたら,単に大豆が腐っただけで失敗したそうです.麹も生き物ですから住む国を選ぶのかも知れませんね...(そういえばイギリスに発酵食品輸入するのは原材料表示とか規制が面倒と聞いたことがあります.)
Posted by: Osamu | Saturday, 09 May 2009 at 12:13