フランスをはじめラテン系の人々が食事中に発する音は思ったよりも結構うるさい.日本で教えられている「テーブルマナー」が聞いてあきれる.特に,陶器と金属が多い食器がガチャガチャと当たる音はラテンの特徴のような気がする.しかしそれ以上に会話がうるさいからまぁcompensateされているような気もするな.
ところがヨーロッパを東に進んでいくと,ある線を越えて食事ノイズは急激に静まりかえる.以前,東ドイツ(いつやねん・・・)で魚を解体して口に運んでいる老夫婦を目にしたとき,その無音ぶりに驚いた.あれは食事ではなく,黙々と「作業」をしていたのだろう.
共通して言えることは,ヨーロッパ人はあまり『舌鼓』を打たない.日本人はずるずるとパスタをすする,とイタリア人は嫌がるが,一般にそのすすり音よりも「チャッ,チャッ」という咀嚼中にアジア人が発する微音(特に美味しいときに出る音)のほうが,より彼らには不快のようである.
僕はたぶん,音を立ててうまそうに食うことを教育された最後の世代だろうと思う.昭和一ケタ生まれの父はいつもチャッ,チャッと誇らしげに舌を鳴らしながら魚をむさぼり食っていたし,それが美味い食い方なのだと教えられれば子供心には従うしかなかった(文化だから,恨んじゃいねーよ>親).学校給食でも「なるべく音を立てて早く食べなさい.そのほうが体にいいから」と指導された.いまの10〜20代くらいの人には信じられないだろうね.でも日本的に言う「いい食いっぷり」という価値観自体はあまり変わっていないような気がする.まぁ自分の名誉のために言っておくが,いま僕はその静煩二つの食べ方を一応は使い分けられますよ.特訓の結果・・・.
で,いろいろ研究してみると,舌鼓というのは酸素の摂取だということらしい.咀嚼中に口から微量の酸素を同時に吸入することで,味覚を高め,二糖類への消化も促進する.いっぽう鼻からの呼吸量が多い西洋人は,舌鼓を打たない代わりに,咀嚼中に鼻から大きく息を吸い込んでいる人が多いことが分かった.真似してみると,たしかに本能的に舌鼓を打たなくなる.
ヨーロッパのレストランで食事をするときは,なるべく鼻づまりを解消してから行ったほうがいいね(笑)
12/03 @Hungary, Budapest
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