という枕詞は大嫌いだ.字面からして見て疲れる.
若手の作り手は皆すべからくハングリー精神を持ってばりばりと頑張るがよい,そんな日本の陳腐な芸術家観が,この一言には含まれているように思う.僕の周囲には,若手の作曲家でも普段はぐぅぐぅ寝てばかりいるくせにいざスイッチが入ると瞬時にとてつもなく質の高いものを作る奴がいて,僕はどちらかというとそういう人のほうが好きである.
あと,この言葉,たとえば有名女優が電撃結婚した時など「お相手は新進気鋭のデザイナー」なんて風にマスコミが使いたがるが,そういう場合言外に“無名ではあるが”というニュアンスが隠れている.だから個人的にはあまり使って欲しくない言葉だ.それでも一応誉めておかねば,という日本の風土によく最適化された言葉なんだろうと思う.いわば,お中元とお歳暮にとりあえず同じものがデパートから送られてくるような,そんな程度の有り難さを与える小市民的な「のし付け」のお言葉なのだ.
もっとも僕の歳になるとあまり使ってもらえないのだが,先日なにも知らないプロデューサーが久々に僕に使ってくれた.苦笑いして喜んだふりしておきました.「いやいやそんな若くないっすからオレ」・・・この枕詞への由緒正しいオトナの返答法である.
初めまして。今日の日記をトラックバックさせていただいたのですが、誤って2回送ってしまいましたので、片方は消していただければと思います。すみません。
Posted by: ドナルド | Wednesday, 19 October 2005 at 18:43