『拝啓 ジョー=ザヴィヌルことJosef Erich Zawinul様
私はアジアの一介の作曲家・キーボーディストであります.この度は貴殿の突然の訃報に接し,言葉もありません.
かれこれ20年以上も前から貴殿の音楽には慣れ親しんでおりました.
最近,かのロストロポーヴィッチ氏を始め,ピアニストのアリス=コルトレーンさん,日本でも羽田健太郎氏,阿久悠氏など時代にブックマークを残した音楽家たちが次々とこの世を去ってしまい,淋しいという言葉の持つ本来の意味以上にあまりに淋しいです.
ここで懺悔をしなくてはなりません.
私は学生の頃,貴殿のお名前があまりにインパクトがあったために,“〜さう゛ぃぬる(さびぬる)”を日本語の述語として多用していました.「我こそがクボタオサムでざびぬる.今日は誠に暑いでざびぬる.」といったぐあいです.ザヴィヌル語と私たちは呼んでいましたが,必要以上に文章が長くなってしまうのが難点と言えば難点でした.「ざびぬると言えばざびぬるが,そうでないと言えばそうでもないでざびぬるのぉ」みたいな.
そう言えば日本の音楽雑誌に出ていた貴殿のインタビューの日本語訳は,いつも一人称が“わしは〜じゃのう・・・”となぜかお爺様語になっていました.いつまでも長生きして,超絶技巧を披露していただきたかったです.
天国にビンテージシンセはありますか? まぁ,多くのビンテージシンセがもはやスクラップになって捨てられたりしてますから,きっとお手に入れることができましょう.
末筆ながら,お帽子を常にお忘れになりませぬよう.
敬具
2007年9月13日(俗世東京時間)』
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