悩んで書くのが遅れてしまったが,以後自分の気持を忘れないためにメモ代わりに書いておこうと思う.
先々週,父が死んだ.
本来ならなにか曲を捧げたりするのが格好いいのかも知れないが,だるくてだるくて白々しくってまったくそういう気がおきない.どうせ捧げるなら生前にやらなきゃ意味がないだろう.そうでなければあくまで生き残った人間の自己満足だ.
だいたい,ロストロポーヴィッチと同じ日に召されたのだ.音に事欠いてはいなかろう.
と,父の食い残しのローストビーフをいただきながら思った.うめえ.
だってぜんぜん悲しくない.Y遺伝子をしっかりいただいた側からすれば,神の定めた順番は守られたのだ.それに比べて,世界でただひとりの男を愛して選んだ母の哀しみは想像するだに余りある.
僕は父を,天から,借りていたのだと思います.
父の命の鍵を返すとき,良かれ悪しかれ絶対だと思っていたすべての環境が,いつか終わるかりそめの時間だと知ったのです.
よい物件でした.きっと自分の命もこんなふうに突然やむをえず返すのでしょう.
そして彼が僕を同じように天から借りていたのだとしたら,よい物件になり得たでしょうか.
これこそ『神のみぞ知る』です.間違えて変換すると『神の味噌汁』とも言います.うめえ.
(おやじぎゃぐ失礼)
お世話になったY葬儀店のHさんは,出っ歯がお茶目なすごくいい人です.ときどき忙しいので来られないと言います.きっとあの世の側にも支店があって,行ったり来たりしながら代わりばんこに面倒を見てるに違いありません.それだけの説得力のあるお顔です.すばらしいフランチャイズですなー.
お父はモスバーガー好きだったけど,向こうにも支店あるかな.こんどHさんに訊いておかなきゃ.
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